僕もちょっと所有している香港市場で購入できるスプリング・リート ( Spring REIT(HKG:1426))
改めてちょっとSpring REITの紹介です。
東証一部上場のマーキュリアが所有する香港法人であるSpring Asset Management Ltdが、中国不動産を運用しているという構造です。沿革に振れると長くなるので日本REIT流に指標だけチェックします。
数字は2018年上半期の決算数字と2018.12.3時点の投資価格で見ています。
香港市場でのSpring REIT
敵対的買収でTOBを仕掛けたPAGは結局株式の41%止まりで買収失敗。マーキュリアは「新任が得られた。」と勝利宣言。
上場して4年で漸く本土二件目となる中国恵州の物件取得も進む。運用頑張ってね。
Spring REITに対する公開買付に関するお知らせhttps://t.co/iTOaSjjpQR
— Takayama.O (@takayama70) December 3, 2018
SPRING REITのポートフォリオ
その1.北京のCBD地区にあるオフィス二棟
時価1,363.99US$(約1500億円)
これがSpring REITが始まったきっかけのアセットです。僕はその昔、北京出張ついでに見に行ったことがあります。(記事)
写真の奥側の二棟です。
その2.英国の自動車サービスセンター・オペレータKiwk-fit社のテナント店舗物件の84店舗
時価:US99.76mil$(約113億円)
2017年に取得した物件です。散々待たせておいて、何で、中国、アジア対象の不動産投資信託が英国のこんなカスみたいな物件を、、、と思いました。
Kiwk-fitは伊藤忠が2011年に買収しています。キャッシュを欲しがった伊藤忠から資産売却で押し付けられた様にしか見えません。
不信感湧きますよね。
以上です。。。。
実体は北京のビルの不動産ですね。日本のREITと比較したら、アホらしい程ハイリスクです。
中国不動産に投資できるとは唯一のリートなんですよね。香港市場で不動産会社銘柄は買えますが、リート個別銘柄は買えません。
現在手続き中:中国恵州のショッピングモール“Huamao Place” (華貿天地)
現在、取得手続き中です。2013年上場以来の念願の本土2件目の物件なんですよね。
これにPAGが何故か「待った!」を掛けて敵対的買収をしかけてきたのです。
買収は失敗に終わりましたが、無事に取得できるかが注目しています。
取得額は1635.5milRMB (約270億円)ですが、評価価格2029mil RMB(約334億円)を18.5%のディスカウントで取得できる予定です。
額面利回り9.4%、NOI利回り7.5%です。
NOI利回り7.5%は日本より良いですが、一般的にショッピングセンターはオフィスよりNOI利回りが高めになります。
Spring REITの分配金
下記グラフです。北京の一等地にあっても2015年から減配を続けています。北京にあっても増えないという詐欺に近いです。
2016年に不動産に関する税金の法律が変わり、分配金減になった記憶があります。
2018の1Hの中間決算は久しぶりに良い数字でした。
英国ポートフォリオ分が利金に乗ってきて貢献しているのと、北京のビルも3%程の増収になっています。
SPRING REITの投資口価格と利回り
値動きは3~3.5HK$位を中心にまったりとした動きでした。
最近、急激に下がったと思ったら、TOBの発表がありました。絶対インサイダー取引している人がいますね。
現在は3.8~3.9HK$辺りで動いていて利回りは現在6%程です。
チャイナショックの辺りでは下落局面で利回り10%近くまで行ったこともあります。
NOI利回り
2018年上半期の結果を倍にして計算します。
北京・英国の物件でNOIは32.70milドルで、アセット評価価格自体1,463.75milドルです。
NOI利回りは約4.4%になります。東京と同じぐらいですね。
LTV
総資産で1586.60mil$ 程で、有利子負債は571.92$ mil ですのでLTVは36%程です。
日本のリートのLTV平均は40%は超えていますし、60%までレバレッジを利かせることが可能です。
英国物件を手に入れて増分配になっている上に、日本のREITと比べれば、まだレバレッジを効かせる余裕がある様に見えます。
もし、恵州のショッピングセンターを、増資なしで借金だけで購入すると、US$で230mil$であり、LTVは44%になる計算です。
年間利回りも0.5%~0.6%位上乗せになるのではないでしょうか?
NAV
今更ですが、今回、計算したら「低すぎる!」と思ったのですが決済資料に書いてありました。
As at 30 June 2018, net assets attributable to Unitholders stood at US$975.77 million.The net asset value per Unit as at 30 June 2018 was HK$6.05 (31 December 2017: HK$6.22;30 June 2017: HK$5.87). This represented a 81.7% premium to the closing price of the Units of HK$3.33 as at 30 June 2018.
2018年6月30日時点で、投資資金に属する所有資産は975.77mil$になり、1分配口辺りの所有資産価格は6.05ドルになります。これは6月30日時点の終値の3.33HKドルに81.7%のプレミアムが乗っていることになります。
1株あたりHK$で6.05の資産価値ですね。株価3.8HK$とするとNAVは62.8%という日本ではありえない数字でした。
ですのでPAGが4.85HK$でTOBしたのも高すぎる数字ではないです。その後、TOBの進捗が悪いとみるや5.3HK$でオファーするのを見て驚きましたが、それでもNAV1.0を余裕で割れているというものでした。
この状況ですと、主株主の1グループのであるPAGから
「経営が増資も考えられない様な投資口価格で放置してる」
と言われてもしょうがないですね。
であれば、借金返して、資産売却してお金で戻してくれるのでも僕は構わないのですが、、、、。
買い増しするか?
成長性が長期に渡り感じられずに失望されてきたSpring REITですが、不人気故かNAVを見れば相変わらずの割安水準だとわかりました。
恵州のショッピングモール買収が増資なしでこなせば、その分不動産下落時のリスクは高まりますが、利回りは上昇すると思われます。
この水準だとPOすると希薄化が激しいので実質、増資ができません。(しないでください!)
そうすると運営会社はレバレッジを上げて物件取得し、運営効率を、利回りを上げ、投資口価格を上げるくらいしか手段がありません。
Spring REITは中国不動産故の難しさなのか、運営・経営の怠慢なのか、そう言ったことをを積極的にやってきたとはお世辞にも言えません。
所有資産も集中してますし、情報も少なく中国という不透明な市場のリートですのでハイリスクだと思います。
ユニークな銘柄なので売る積りはありませんが、僕はずっと様子見です。
日本から中国の不動産への投資機会は限られるので、マイナー指向で高利回り・リスクOK方には、少しだけ組み入れても面白い物件かと思います。